【SW2.0】騎士退治

【シナリオ概要】主を失って暴走している魔法生物の騎士達を退治してほしい

【背景】
森の奥にひっそりと屋敷が建っている。その屋敷には魔術師である主が住んでいた。主は屋敷で魔法の研究を行い、買い入れた鎧に命を与えた。鎧は騎士となり、主の命に従って生きていた。
主の騎士開発はある目的の為に行われていた。森の近くにある孤児院を魔物から守るためだった。
しかし騎士を生み出す作業中に主は事故死。その際に生まれた黒騎士・アンジェロは他の騎士を従え、屋敷に来る蛮族共を片端から排除していった。
依頼を出される一週間前、屋敷に何者かが侵入する。侵入者は地下にある騎士達の動力源に命令を上書きし、アンジェロを中心に騎士達に生き物すべてを襲わせた。近づく生き物をなぎ倒していく騎士達をみて、満足そうに侵入者はそこから去っていった。放置された騎士達は上書きされた命令通り、無差別に生き物を襲う。
そしてとうとう近くにあった孤児院を認識し、メアリー達を襲うようになった。
以降、屋敷には誰も近づかない。


【1】 導入
PC達が宿やでくつろいでいると、頭が眩しい宿の親父から依頼を持ちかけられる。
「お前さん達、暇そうだな。実は今ちょうどお前さんたちに手ごろな依頼が入ってきたんだ。やってみないか?」
PC達が依頼を受けると親父が依頼書を見せてくれる。

依頼人はメアリーという女性。
依頼の内容は、メアリーが経営している孤児院の近くにある森にいる騎士の恰好をした魔物らしき化け物達の排除だ。詳しいことはメアリーに直接聞くよう促す。
依頼場所への道の地図が添付されている(依頼場所へは半日かかる)。→依頼場所へ行くのに馬車を使うなら料金発生。6時間で着く。

【2】 依頼場所へ到着
PC達が孤児院へ着き、孤児院の扉を開こうとすると…。
▼危険感知判定/目標値10
スカウトorレンジャー技能レベル+知識ボーナス
成功→後ろを振り返ると、騎士1体が盾と剣を構えて立っていた。騎士達はPC達に襲い掛かる。戦闘開始。
失敗→カシャンという音と共に騎士からの攻撃を誰か一人が受ける。HP-1。問答無用で戦闘開始。

・騎士(魔法生物)
知名度/弱点値:5/10 先制値:9 移動速度15
生命抵抗力/2(9) 精神抵抗力:2(9)
命中力:3(10) 打撃点:2d+2 回避力:2(9)
防護点:2 HP:19
弱点:魔法ダメージ+2
2~9 なし、10~魔力を帯びた石

戦闘終了後、騎士の鎧は光に包まれ霧散する。すると孤児院の扉が開かれ、腕に包帯を巻いた女性がでてくる。メアリーだ。
「一体どうしたの!?何があったの!?」
メアリーに依頼を受けてきたことを説明し、孤児院の中へ入れてもらうと、怯えきった子供達の視線を感じる。この子供達にも、後で話が聞ける。

【3】 孤児院で情報収集
客間へ通され、メアリーから依頼の話を聞く。
「到着早々災難だったわね。依頼書を見てここへ来ているのだから、もうわかっているでしょうけど、わたし達はあの騎士達を退治してほしいの」
・あれは一体?
「鎧の中に疑似魂を入れた、ゴーレムみたいな魔物よ。詳しいことは地下にある書庫で調べてちょうだい。わたしもよく知らないのよ。あいつらはここから少し歩くと森があって、その中にお屋敷があるのよ。そこから沸いてきているみたいだわ」
【!】屋敷までの道のりを教えてもらう。
・その腕どうしたの?
「先週、やつらにやられたのよ。庭で洗濯を干していたら、急に来て。ほんとむかつくわ」
・子供達に話を聞いても?
「ええ、構わないわ。たださっきの戦いの音で少し怯えているようだから、優しく話しかけてあげて。でもあんまり期待しないほうがいいわ。あの鎧たちが暴れはじめてから子供達にあまり外に出ないよういってあるのよ」
・報酬は…?
「出すわよ。一人1000Gずつでお願いね。…値上げ交渉は相手にしないわよ」
一通り話を終えると、メアリーから離れ、孤児院内で情報収集の時間となる。

・地下の書庫 ‐文献判定と探索判定が可能
▼文献判定/目標値7(2d6+セージ技能レベル+知力ボーナス)
成功すると以下の内容を知ることができる。
 《前院長の手記》
五年ほど前の日記のようだ。赤い表紙に金の縁取りがしてある。
○月×日
普段から懇意にしている森の魔術師様が、とうとう夢をかなえられたそうだわ!
お話を聞いた時、あまりにも熱く語られていたものだから、よくわからなかったのだけれど。なんだったかしら、鎧に魔法をかけるのだったかしら?だめね、覚えてない。
明日子供達に見せてくれるそうだから、楽しみで仕方ないわ。

○月◇日
魔術師様の魔法を見せてもらった。魔術師様の魔法で鎧が動いたわ!すごい、魔法ってこんなこともできるのね!子供達もかっこいい騎士達におおはしゃぎで楽しそうだったわ。魔術師様も嬉しそうで、わたしまで嬉しくなっちゃった。
そして驚いたことに、魔術師様はその騎士たちを孤児院の警備として配置してくれるそうなの!魔術師様の命令通りに騎士達は魔物を敵と認識して追い払ってくれるそう。
さすが魔術師様だわ。感謝してもしきれない。

○月□日
魔術師様はこの孤児院出身の方だった。そして夢は、一人だった自分を温かく迎えて育ててくれたここへの恩返しですって…。なんて嬉しい話なんでしょう。魔術師様のお話を聞いた時、つい涙がこぼれてしまったわ。
前院長、あなたの育てた子が、最高の恩返しをしてくれましたよ。

△月○日
メアリーが帰ってきてくれた!あんな小さな女の子だったのに、とてもたくましくなっていたわ。彼女は今まで冒険者としてお金を稼いでいたけれど、これからはここのお手伝いをしてくれるそう。そうね、わたしももう歳だから、とてもありがたいわ。

・要約
前院長の手記には
・森には魔術師が住んでいたこと
・その魔術師とここの孤児院は懇意にしていたこと
・魔術師の魔法で鎧が動き出し、孤児院を護衛するようになったこと
が書かれている。手記の中で魔術師は悪くかかれておらず、むしろ前院長と非常に親しくしていたことが窺える。

・子供たちに話を聞く
冒険者が子供たちに寄っていくと、子供たちはわらわらと群がる。冒険者のかっこうが珍しい様だ。
子供たちに魔法生物について聞ける。
▼冒険者判定/目標値9(2d6+冒険者レベル+知力ボーナス)
女子と男子からこんな話が聞ける。
女子「あの騎士のこと……。あっ、そういえば、わたし…前に、他とは違う色をした騎士を見たの……」
女子「えっと…その…。メアリーさんには内緒にしてね…?」
女子「うさぎさんを追いかけて森に入っていったら、屋敷のすぐ近くまで行っちゃったの。その時、屋敷の窓から、あの銀色の騎士とは違う色の…真っ黒の騎士が、いたの…」
女の子は見た後すぐに逃げてきたためこれ以上は知らない。
男子「おれ、その時一緒にうさぎおいかけてたんだけどさー!」
男子「こいつと一緒に隠れてるとき、黒い奴と目があったんだよな!」
男子「だけどなんともなかったぜ!」
男子「…あ、あと…そういえば。その日、館の扉が開いてた!いっつも見に行くときは締まってるんだけど、その日は空いてたぜ!なんでだろーなー」

これ以上孤児院で調べることはできないので、森の館へ行くよう促す。

【4】 森の館
ひっそりとした森の中を進むと、木造の建物が見えてくる。それほど横幅は広くなく、館は一階建てであることが外観からわかる。館の扉は少し開いており、鍵はかかっていないことがわかる。館のまわりに騎士の姿は見えない。

◇魔術師の館 ここに住んでいた魔術師は冒険者達が依頼された孤児院出身であった。魔術師は魔法生物を研究しており、その研究成果を街などに捧げ貢献していた。館は一階の研究スペース、地下一階の実験スペースから成っている。

□一階
探索者達が館内に入ったなら地図を渡す。
探索箇所は研究室1、研究室2、書斎、魔術師の自室。
・研究室1
  ▼探索判定/目標値9
  達成値9以上…研究結果をまとめた書類がある。書類には、
  ・騎士はこれまでに5体生産に成功したこと
  ・騎士たちは魔法感知/生物感知をつかえること
  ・これから今まで生み出した騎士達の中心となる“黒騎士”を生産すること
  が書かれている。生産方法や材料、魔法の組み立て等が書かれたページはなく、その部分だけごっそりと抜けている。
  達成値12以上…書類の影から魔晶石が一つ出てくる。
・研究室2
随分と荒らされている。書類が床に散らばり、床に誰かの靴跡らしき泥の痕跡がある。
  ▼探索判定/目標値9
  成功…騎士についての書類が見つかる。書類には、
  ・地下で生産を行っていたこと
  ・地下にある魔晶石が騎士達の動力源であること
  動かせそうな本棚…二人以上で押せば動く。地下への階段が現れる。
・魔術師の自室
▼探索判定
・達成値9
書架に配架されている本の間から美しい羽が付いたペンが見つかる。宝物判定(目標値9/2d6+スカorセージ技能レベル+知力ボーナス)に成功すると、売価60Gということがわかる。
・達成値11
机の引き出しから、ガラス細工の美しいオルゴールを見つける。
宝物判定(目標値9/2d6+スカorセージ技能レベル+知力ボーナス)に成功すると、売価500Gということがわかる。
・書斎
本棚と簡素な机と椅子がある。
▼探索判定/目標値10
本棚…魔法生物の本がぎっしり詰まっている。本棚を探索していると、不自然に綺麗な絵本(50G)がある。【センス・マジック】を使うと、この絵本にはわずかに魔力がありこの魔力が絵本を綺麗に保っていること、そして開くと罠が発動することに気付く。
▼絵本の罠 【ディスペル・マジック】/目標値9
失敗すると絵本からもやが現れ、冒険者達に【スリープ】の魔法がかかる。
冒険者達が眠ってしまった場合、シークレットダイスを振り騎士1体が現れるかどうかを判定。騎士が現れる場合、誰か一人に1d+2のダメージ。そのまま戦闘へ。
なお、冒険者達が眠らなかった場合も書斎の外で騎士1体が待ち受けている。戦闘。

□地下一階
二階にある本のしかけを解いた後、一階に地下への階段が現れる。地下へ降りると、大きな広間に出る。
薄暗い広間の床には魔法陣がかいてあり、薄く光っている。部屋の奥に台に乗った青い宝石のようなものがあることがわかる。その隣に、金色の騎士が佇んでいることも同時にわかるだろう。
金の騎士は冒険者たちを認識すると、盾と剣をゆったりと構える。冒険者達に何か問いかけられても何も答えない。
金の騎士が剣の切っ先を冒険者たちに向けると、広間の天井に魔法陣が現れ、そこから騎士達が出てくる。戦闘開始!

騎士アンジェロ
知名度/弱点値:9/14 先制値:9 移動速度15
生命抵抗力/2(9) 精神抵抗力:4(12)
命中力:4(13) 打撃点:2d+4 回避力:2(9)
防護点:3 HP:30/
弱点:魔法ダメージ+2
戦利品 剣のかけら×3
2~4なし、5~9綺麗な指輪(150G)、10~魔力を帯びた石

・騎士×3(2)
知名度/弱点値:5/10 先制値:9 移動速度15
生命抵抗力/2(9) 精神抵抗力:2(9)
命中力:3(10) 打撃点:2d+2 回避力:2(9)
防護点:2 HP:19
弱点:魔法ダメージ+2
2~9 なし、10~魔力を帯びた石

戦闘に勝利すると、騎士達は光となって霧散する。そこには黒騎士が持っていた剣が残される。刀身はすでにボロボロで、武器としては使えそうにない。持って帰って売ると800Gになる。
冒険者達が魔石晶を壊すか無効化すると、屋敷全体にうっすらとかかっていた魔力が完全になくなり、時間と共に屋敷は朽ちていくことが感じられる。

メアリーに騎士達の排除が完了したことを伝えると、依頼達成。
一人600Gを受け取り、シナリオ終了となる。


経験値 1000+(2×6)×10=1200
報酬 一人1000G